人質軟禁事件!? その2
私も大昔は、某有名演歌歌手の結婚式の時に、受付の横で見張りをしていた
男です。簿記は日商1級だ。
しかし、あの状況で闘える人は流石に少ないでしょう。
むかし聞いた話でボッタクリを返り討ちにしたという、強者達の顔を思いだ
してみても、オリンピックの聖火ランナーだった人・ボクサー崩れのケンカ
屋さん・柔道の元インターハイ選手・池袋の空手屋がモデルのマンガで龍だ
か虎だかといわれてた人・・etc。おいおい、そんな人達と同じ芸当、わ
たしにやれって云うのか? って感じです。
この軟禁事件のリーダー格の男(仮にセルパとします)が私を怒鳴りつけま
した。
「金払え! てめぇ、タダで帰れると思ってんのかぁ」
すると横の若いアンちゃんがすかさず「ぶっ殺すぞ 、コラァ!」。
このアンちゃんが散々私達に脅しをかけたあと、リーダー格の男セルパが、
「まあまあ、払って貰えればそれでいいんだから、カード持ってんでしょ?」
と云って来ました。
日本人である私は闘うことよりも金銭で決着するほうを選ぶのですが私はそ
のリーダー格の男セルパの失言を聞き逃しませんでした。彼は云いました。
「素直に出せコノ野郎!こっちにだって仏心はあるんだ。早く出さんかい!」
仏心・・。これは彼からすればアメとムチを使い分けたつもりだったのでし
ょう。しかし彼の失敗はわたしに値引き交渉の余地を与えてしまったことで
す。
「払えるのは1万6千円までです。それ以上は持ち合わせていません。帰り
の交通費までは勘弁してくださいよぉ」。
私がそう言うと一斉に敵方から「舐めるなこらぁ!」「ぶっ殺すぞ!」・・
等、物凄い罵倒を浴びせられました。まあ当然といえば当然でしょう。しか
しその時既に私は値引き交渉が可能だという確かな手応えを感じていました
ので冷静に対処すべく、今度はこちらからアメとムチを使うことにしました。
「あんたらこそ、サラリーマンをナメンじゃねえぞ! おたくらがここに店
出すのにどこからどんな許可取ってるかぐらい知ってんだよ。善良なサラリ
ーマンにちょっかい出すと店の名前変えることになるぞ。・・・(セルパの
方を見て)私のいってる意味、わかりますよねぇ」。
「・・・?」、セルパは無言になった。
とべこんちぬえ
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